
はじめに
ファイバーレーザー溶接機は、製造業界において高精度かつ効率的な溶接を実現するための重要なツールです。しかし、最適な性能を維持するためには、定期的なメンテナンスとトラブルシューティングが欠かせません。本記事では、ファイバーレーザー溶接機のメンテナンス方法と一般的なトラブルシューティングについて詳しく解説します。この記事を参考にして、溶接機のパフォーマンスを最大限に引き出しましょう。
ファイバーレーザー溶接機の原理と仕組みやファイバーレーザー溶接機のメリットについてはこちらの記事がオススメです。
目次
- ファイバー溶接機の基本メンテナンス
・日常点検
・定期メンテナンス - 一般的なトラブルとその対処法
・レーザー出力の低下
・冷却システムの問題 - メンテナンスのベストプラクティス
・適切な使用と対策
・記録とドキュメントの管理 - まとめ

1.ファイバーレーザー溶接機の基本メンテナンス

日常点検
ファイバーレーザー溶接機の効果的な運用には、日常的な点検が重要です。毎日の使用前後には以下の項目を確認しましょう。
- レーザーヘッドの清掃: スパッタやゴミがレーザーヘッド、特にノズル部分に埃や汚れが付着していると、溶接の品質に悪影響を及ぼす可能性があります。柔らかい布で丁寧に清掃しましょう。それでも落ちない時は、ヤスリを使用して削りましょう。導通にも影響します。
- 冷却水のレベルチェック: 冷却水が不足すると機械が過熱し、故障の原因となります。毎日冷却水のレベルを確認し、必要に応じて補充してください。弊社の溶接機のチラーは溢れるまで精製水/クーラントを入れて大丈夫です。
- 接続部分の緩み確認: ケーブルやホースの接続部分が緩んでいると、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。定期的に確認し、緩みがあれば締め直します。特にガントーチ根本にあるセンサー部分やケーブル途中にある接続部分の緩みをチェックしてみましょう。
- 保護レンズの確認: 始業前・作業開始前に一度保護レンズに汚れや埃が付着していないか確認しましょう。もし汚れていたら、エタノールをつけた綿棒で保護レンズを拭くなどしてキレイな状態にしておきましょう。黄色く変色している場合も交換します。レーザーの乱反射の原因になります。
定期メンテナンス
日常点検に加え、定期的なメンテナンスも必要です。月に一度は以下の項目を点検しましょう。
- フィルターの交換: カバーなどの隙間から粉塵や埃が溶接機内に入り込み、レーザー発振器が故障する場合があります。フィルターの状態を確認し、必要に応じて交換します。
- 光ファイバーの状態確認: 光ファイバーに損傷がないか、定期的にチェックします。損傷が見つかった場合は、直ちに交換してください。
- エアーで埃を飛ばす: こちらは月1で構いませんので、溶接機本体のカバーを開けてエアーで埃や塵を吹き飛ばしてください。発振器の故障の原因になります。
- フォーカスレンズの確認: フォーカスレンズに汚れや埃が付着していないか確認しましょう。もし汚れていたら、エタノールをつけた綿棒でフォーカスレンズを拭くなどしてキレイな状態にしておきましょう。レーザーの乱反射の原因になります。
- ソフトウェアのアップデート: 機械のソフトウェアを最新の状態に保つことで、最適な性能を維持します。定期的にアップデートを確認し、適用します。
2.一般的なトラブルとその対処法
レーザー出力の低下
レーザー出力が低下した場合、まずは保護レンズの汚れを確認しましょう。汚れが付着している場合は、専用のクリーニングキットで丁寧に清掃します。一度レーザーの出力がおかしいなと感じた場合は即時に溶接を中止してください。万が一保護レンズに傷がついたまま溶接し続けた場合、フォーカスレンズへの傷や発振器の故障に繋がりかねません。
また、冷却システムの不調も出力低下の原因となるため、冷却水の流れや温度をチェックしてください。
- 保護レンズの清掃方法: 清掃の際は、無水アルコール・エタノールとクリーニングペーパーや綿棒を使用します。保護レンズを傷つけないよう、慎重に作業を行いましょう。ガントーチから保護レンズを引き抜いた際は、保護レンズが装着されていた箇所に埃が入り込まないようにビニールテープ等で塞いでおきましょう。
(黄色く変色している場合も保護レンズを交換しましょう。) - フォーカスレンズの確認: 保護レンズを確認し異常がない場合は、フォーカスレンズを確認します。同じく清掃の際は、無水アルコール・エタノールとクリーニングペーパーや綿棒を使用します。保護レンズを傷つけないよう、慎重に作業を行いましょう。またフォーカスレンズに傷があった場合は要交換となりますが、フォーカスレンズには凹凸が付いています。装着時に向きを間違わないように装着してください。
- 導通の確認: 安全装置として導通センサーが付属しており、作業台や材料に導通センサーをつけて溶接を行います。ガントーチの材料設置とセンサーが導通して初めて溶接可能になりますが、材料やセンサーをつけた部分で導通が取れなくなるとレーザーが出ず溶接ができないこともあります。導通が取れず溶接ができなくなる場合もありますので、導通確認もしましょう。
- 冷却水の交換: 定期的に冷却水を交換し、異物や汚れがないように保ちます。冷却水の品質は機械の性能に直結するため、注意が必要です。
- 発振器エラーの確認: ガントーチ根本部分のセンサーやケーブルの接触不良が原因でレーザーが出ないこともあり、その場合は発振器からエラーが出ていることがあります。ガントーチ根本部分の締め直しやケーブルの接続部分の締め直しが必要になります。
冷却システムの問題
冷却システムに問題が発生すると、機械全体の性能に影響を与える可能性があります。冷却水の漏れやポンプの異常音が聞こえた場合は、直ちに使用を中止し、メーカーに相談することをお勧めします。
- 冷却水の漏れ検査: 溶接機のカバーを開けて、冷却システムの各部を確認し漏れがないかチェックします。漏れが発見された場合は、直ちに修理を行います。
- ポンプのメンテナンス: ポンプの作動音が異常な場合は、内部に問題がある可能性があります。唸るような音が聞こえる場合は空回りしている恐れがあるので、精製水を目一杯入れてみましょう。それでもポンプの調子が悪い場合はメーカーに依頼して点検・修理を行いましょう。
*ケーブルが15mと長い場合、溶接機本体に巻きつけたままだと冷却水がガントーチまで行き届かない恐れもあります。なるべくケーブルを解いてから溶接を行うようにしましょう。
3. メンテナンスのベストプラクティス

適切な使用と対策
メンテナンス作業を行う際には、必ず安全対策を徹底しましょう。保護メガネや手袋を着用し、機械の電源をオフにしてから作業を行います。
- 保護具の使用: 作業中は必ず保護メガネや手袋を着用します。レーザー光線や薬品から身を守るための対策を講じます。
- 電源の管理: 作業前には必ず機械の電源を切り、安全を確認してから作業を開始します。溶接機本体のブレーカーも落としておきましょう。
記録とドキュメントの管理
メンテナンスやトラブルシューティングの記録を詳細に残すことで、将来的な問題の予防に役立ちます。定期的なメンテナンスの記録をつけ、異常が発生した際の対応策をドキュメントとして保管しておきましょう。
- メンテナンスログの作成: 各メンテナンス作業の内容や実施日を記録します。これにより、次回のメンテナンス時期や過去の対応履歴を把握できます。
- トラブルシューティングガイド: トラブルが発生した際の対処法をまとめたガイドを作成します。これにより、同様の問題が発生した場合に迅速に対応できます。
*弊社ではあらかじめトラブルシューティング表をお渡ししています。
まとめ:
ファイバーレーザー溶接機の長寿命と高性能を維持するためには、定期的なメンテナンスと適切なトラブルシューティングが不可欠です。日常点検からメーカーへの依頼まで、一連のメンテナンス作業を徹底することで、製造業務の効率を最大化しましょう。
興味を持たれた方は、ぜひ当社の製品カタログをご覧いただき、詳しい情報をお求めください。また、専門スタッフによる無料相談も実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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